Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

「初めて帰って来たんだから、きっと道を迷って遠いところへ行ったんだわ。どうしましょう」

芳江は真っ青になったまま外の方へ馳けていった。彼女の後から出入の米屋や酒屋、手伝いの人三人に長男らが四方へまた探しに散った。梶も別動隊となって裏から一人で出ていったが外は全く暗かった。それに新しく前後左右にずっと建て込んだ家の小路の複雑した屈曲には、梶もしばしば迷って出口が分らず立ち停って考えたほどだった。家の尽きたあたりは一万坪あまりの野原で人一人通らなかった。梶は永らく田舎(いなか)の祖父のもとで留守中いた四つの子供の頭を思うと、迷ったが最後帰路の困難が察せられた。道というものは小さくともどこまでも続いているのだから、迷いの末はどのあたりを遊び歩いているか知れたものではない上に、梶の家の周囲の道がまた八方についているのだった。

梶は真暗(まっくら)な夜道を子供を尋ねて歩きながら、ふと自分も今自分の子供と同じような眼にあっているのではないかと思った。知らぬ間に全く考えもしなかった複雑な夜道が自分の八方についていて、どこを自分がうろついているのか分らぬのではないかと思われた。