Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
中央のホールを囲む客席のボックスも、全面が真赤な天鵞絨(びろうど)で張り廻(めぐら)された、一国の首都には適当な設備の完備した豪華なものだった。
集っている踊子らもここのは数多く揃(そろ)ってみな美しかった。中でも一人際立(きわだ)った若さで、眼の異様に大きく光る子が、もう相当に見えていた各国の旅客たちの的らしかった。梶はかち合う客らが尾を曳(ひ)いてその子の後を追う露骨さが面白かった。踊りの合い間には、どこの国でも同様の流しの芸人たちが、時間を決めて廻って来ると、ボーカル、手品と退屈の暇もなく時間はたつのだった。バンドもここのは緩急の調子も良かった。その中に、伯爵の放蕩(ほうとう)息子だという若者が一人混っていて、おどけた表情でバンド一座の采配(さいはい)を振っており、その様子がいかにも粋人のなれの果てと云いたい枯れた手腕を発揮していた。ホールの客の興奮が次第に昂(たか)まりのぼって熱して来たとき、突如として外から一団の娘たちが繰り込んで来た。そして、ホールの人人のサッと裂け開いた中へ流れ込むと、時を移さず急調子に鳴りひびいたバンドに合せ、踊り撥(は)ねる小鹿の群れのような新鮮な姿態で踊りつづけた。