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Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

……と直ぐその足許を潜るように、按摩の笛が寂しく聞える。

門附は屹と見た。

「噂をすれば、芸妓はんが通りまっせ。あんた、見たいなら障子を開けやす……そのかわり、敵打たりょうと思うてな。」

「ああ、いつでも打たれてやら。ちょッ、可厭に煩く笛を吹くない。」

かたりと門の戸を外から開ける。

「ええ、吃驚すら。」

「今晩は、――饂飩六ツ急いでな。」と草履穿きの半纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。

「へい。」と筒抜けの高調子で、亭主帳場へ棒に突立ち、

「お方、そりゃ早うせぬかい。」

女房は澄ましたもので、

「美しい跫音やな、どこの?」と聞く。

「こないだ山田の新町から住替えた、こんの島家の新妓じゃ。」と言いながら、鼻赤の若い衆は、覗いた顔を外に曲げる。

と門附は、背後の壁へ胸を反らして、ちょっと伸上るようにして、戸に立つ男の肩越しに、皎とした月の廓の、細い通を見透かした。

駒下駄はちと音低く、まだ、からころと響いたのである。

「沢山出なさるかな。」

「まあ、こんの饂飩のようには行かぬで。」

「その気で、すぐに届けますえ。」

「はい頼んます。」と、男は返る。

亭主帳場から背後向きに、日和下駄を探って下り、がたりびしりと手当り強く、そこへ広蓋を出掛ける。