Japanische Klassiker mit Furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lesen Sie 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.396 Zeichen · 23 Bildschirme
死んだような気持で送った牢内の三日間は、娑婆の三年よりも永かった。――その三日の間に歌麿は、げっそり頬のこけたのを覚えた。
「これからは怖くて、絵筆が持てなくなりやした」
出牢後、五十日間の手錠、家主預けときまって、再び己が画室に坐った歌麿は、これまでとは別人のように弱気になって、見舞に来た版元の誰彼を捕まえては、同じように牢内の恐ろしさを聞かせていたが、そのせいか「八十までは女と寝る」と豪語していた、きのうまでの元気はどこへやら、今は急に、十年も年を取ったかと疑われるまでに、身心共に衰えて、一杯の酒さえ目にすることなく、自ら進んで絵の具を解こうなどという、そうした気配は、薬にしたくも見られなかった。
しとしとと雨の降る、午下りだった。歌麿はいつものように机にもたれて茫然と、一坪の庭の紫陽花に注ぐ、雨の脚を見詰めていた。と、あわててはいって来たおつねが、来客を知らせて来た。
「どなただか知らねえが、初めての方なら、病気だといって、お断りしねえ」
「ですがお師匠さん、お客様は割下水のお旗本、阪上主水様からの、急なお使いだとおっしゃいますよ」
「なに、お旗本のお使いだと」