Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
熱沙限りなきサハラを旅する隊商も時々は甘き泉わき緑の木陰涼しきオーシスに行きあいて堪え難き渇きと死ぬばかりなる疲労を癒する由あれど、人生まれ落ちての旅路にはただ一度、恋ちょう真清水をくみ得てしばしは永久の天を夢むといえども、この夢はさめやすくさむれば、またそのさびしき行程にのぼらざるを得ず、かくて小暗き墓の門に達するまで、ついに再び第二のオーシスに行きあうことなく、ただ空しく地平線下に沈みうせぬるかの真清水を懐うのみ、げにしかり、しかしてわれ今、しいて自らこのオーシスに分かれんとす、しいて自らこの夢を破らんとす。これまことにわれの堪え得べき事なるか。
恋の泉はいつもいつもわきて流れ疲れし人をまてど、この泉の潯にて行きあう年若き男女の旅人のみは幾度か幾度か代わりゆき、かつ若者に伴いし乙女初めは楽しげにこの泉をくめどたちまちその手を差しいれてこれを濁し、若者をここより追いやりつ、自己もまたあえぎあえぎその跡を逐うて苦しき熱きさびしき旅路にのぼる。わが友の上にもこの事あり、わが読みし文の中にもこの事多し。されど治子は一度われをこの泉の潯に導きしより二年に近き月日を経て今なおわれを思いわれを恋うてやまず、昨夜の手紙を読むものたれかこの清き乙女を憐まざらん。