Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しのふちより

死の淵より

高見 順

Lesen Sie 死の淵より (しのふちより) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.084 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

黒くしめった

円空が仏像を刻んだように

洗えと言う

庭で(一)

一

否 私から一目散に逃げ出した

黒くしめった

黒くしめった雲の影が芝生をよぎった

そのとき私の眼の前を

スッポンのごときものがよこぎった

それはなぜスッポンであらねばならぬのか

間もなく室内のベッドの上の私の胸の上を

差すはずのない雲の影がゆっくりとよぎった

みるみる私は萎えて行った

あれはやっぱりスッポンだったのだ

直ちに首をちょん切られ血をしぼられるスッポンだったのだ

円空が仏像を刻んだように

円空が仏像を刻んだように

詩をつくりたい

ヒラリアにかかったナナ(犬)が

くんくんと泣きつづけるように

わたしも詩で訴えたい

カタバミがいつの間にかいちめんに

黄色い花をつけているように

わたしもいっぱい詩を咲かせたい

飛ぶ鳥が空から小さな糞を落とすように

無造作に詩を書きたい

時にはあの出航の銅鑼のように

詩をわめき散らしたい

洗えと言う

洗えと言う

くさい息をふっかけて

けだものが

毛もくじゃらのノミだらけの足を出して

人間のおれに命令する

よろしい

やってやる

なんでも言うことをきいてやる

そのかわり けだものよ

おれもたけだけしいけだものにしてくれ

庭で(一)

一

草の実

小さな祈りが葉のかげで実っている