Japanische Klassiker mit Furigana
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しのふちより
死の淵より
高見 順
Lesen Sie 死の淵より (しのふちより) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.084 Zeichen · 38 Bildschirme
明治期
大正末期
昭和期
同じときパリから離れた田舎のアルルで
ゴッホは自分の耳をかみそりで切りとった
友人のゴーギャンと口争いをして負けたのだ
ゴッホの傑作が一番生れたアルル時代のことだ
ピエールのようにゴーギャンを刺すことはできなかった
ピエールとちがって卑怯なめめしさだと笑われ
狂気のせいだとも診断されたが
ゴッホはやくざでなく画家だったのだ
のちにゴッホは片耳のない自分をみつめて自画像を描いた
卑怯な男ではなかった証拠だ
ゴッホの画は生涯に一度しか売れなかった
売れる画を描こうとしなかったのも卑怯でなかったせいだ
T君よ 君は好運だ
君の耳は健在だし
ノイローゼになってもゴッホのように死なないですんだし
小説を売って今日まで生きながらえることができた
さらに幸いなことに君はやくざのピエールでもなかった
明治期
旗行列の小学生が手に手に振っている日の丸の赤インキが雨ににじみ よそゆきのハカマのうしろに泥がいっぱいはねあがっていた
大正末期
少女の髪は火薬のにおいがして わがテロリストの手のスミレがしおれていた
昭和期
姐さんはこう言ってました 芸は売っても 身は売らぬ あたしはオヒゲのお客に言いました 身は売っても 芸は売りません