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Japanische Klassiker mit Furigana

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しのこうかい

死の航海

国枝 史郎

Lesen Sie 死の航海 (しのこうかい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.634 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

「しまった!」と人々は叫び乍ら海に向いた窓へ走り寄った。次第に明けかかる空の光に海面は朧ろに光っていたが、眼下の水面は尚暗く、物のあやめも解からない。その水面には短艇も無ければまして老人の姿も無い。だから勿論沖の方にも黄金の荒鷲のマークをつけた巨大の商船などはいなかった。

検事、刑事、予審判事、そして警官や同宿者達は、頷き合って眼を見合わせた。それから室の中を見廻わした。寝台の下に古靴が――凶行の現場から此室まで鮮明りした足跡をつけたところの老人の古靴――証拠品が、動きの取れない証拠品が、二足揃って隠してあった。

若い水夫のガブリエルは、それを隠家から引き出した。その手をズボンのカクシへ突っ込み、嘲笑い乍ら斯う呶鳴った。

「なんてまあ太々しい爺だったろう! こんな悪党とは夢にも知らず、あんまり様子が可哀そうだったので、金貨一枚投げ出して、この合宿へ入れてやったのが、今から思やあ災難だった! こいつさえ合宿所へ入れてやらなかったらジョージも殺されはしなかったろうに。ほんとにジョージは可哀そうだ! 神様、どうぞジョージの魂を天国へお連れなすって下さいまし」