Japanische Klassiker mit Furigana
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しのこうかい
死の航海
国枝 史郎
Lesen Sie 死の航海 (しのこうかい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.634 Zeichen · 18 Bildschirme
「云いたくないのなら云わ無いでもいいよ。無理に聞きたいとは云やしない」
老人はじっと下を向いて悲しそうな表情を続けていたが、ヒョイと其眼を若者へ注いで疑わしそうに見ていたが、
「いいえどっちかと申しませば、私の方からお願いして聞いていただきたいのでございますよ……」
「それじゃサッサと云ってみねえ」
「これ迄も私は幾人かの人に聞いて貰ったのでございますがね、聞いて了うと其人達は、馬鹿にしたような顔をして、大きな声で笑うのでごわす。それから私に云いますので『フランク、お前夢を見ているな! それとも安物の少年雑誌にそんなことでも書いてあったのかい! それとも、ひょっとかすると、お前自身気が狂っているのかも知れないぜ』って、茶化して了うのでございますよ」
「だが併し俺は笑わないよ。笑わないから話すがいい」
真面目にガブリエルは斯う云った。
「それじゃ聞いていただきましょう――何時からか私は存じませんけれど、私の心に一つの確信が巣食うようになったのでございますよ。それはどういう確信かというに、船首を黄金の鷲で飾った一隻の巨大の商船の船長となれるっていうことでして、その商船は何処かの港に私の行くのを待っている……何処の港だか解らないけれど何処かの港に待っている……だから私はその港へ早く行かなければなりません。