Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さつじんめいろ

殺人迷路

浜尾 四郎

Lesen Sie 殺人迷路 (さつじんめいろ) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.668 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

「さっきから云ってるじゃありませんか。決して僕のやった事じゃないと」

「まあ黙ってきいていたまえ。君は自分でどの位いい頭の所有者だと自惚れているか判らないが、僕をして云わしむれば君は少くも、論理的な頭の持主ではない。――君自身の言によると君は、完全な犯罪があるとかないとか議論したということだが……」

「それはあります」

「それ自体に既に矛盾があると君は気がつかずに大まじめで論じている。もし仮りに完全な犯罪がありとすれば、それは犯人自身が知っている限りで天下の何人にも知られぬものである筈だ。従ってそれが犯罪也と人に思われようがない。犯人自身が自ら名告らぬ限り永遠に誰にも知れぬ筈ではないか。はたして然りとすれば『完全な犯罪』があるかどうかは既に論ずる余地がない。議論の彼岸にあるべきである」

ここまで二木検事はいい気になって喋舌ると一寸休んで傍の書記に何かひそひそと耳打をした。書記は机の上にある一件書類を携えると、いそいでドアの外に出て行った。

「ねえ君、そこで君の所謂『完全なる犯罪』もまた、もし本人が名告りをあげるとそのとたんに不完全になるわけだ。そこで遺憾ながら今度の犯罪も不完全なものとなったのだよ。