Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lesen Sie 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.533 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

燿子が書いた――歩廊の小喜劇

「ある、丁度練習も済んだし、日本アルプスへでも行こうと思っていた時だ、平泉へ行こう。燿ちゃん、綾子さんも」

冒険好きな健一はすっかり有頂天になります。

「そうしましょう。その銅板を捜して、殺された潜水夫の事を調べて、私達の手で平泉館の宝庫を見付ける方が面白いワ。でも随分危ない事があるかも知れないけれど――」

「少し位の危険は何処にでもあるよ。――第一、平泉館の宝庫を発見すると、綾子さんのお父様の汚名も雪がれる訳だ」

「行きましょう綾子さん」

燿子に手を取られると、綾子は何時の間にやら、涙を流しておりました。

黙って見上げた眼には、燿子の智恵と、健一の義侠心に対する感嘆の光が漲ります。

平泉へ――、平泉へ――、そこには一体、何が三人の少年少女を待ってるでしょう。

燿子が書いた――歩廊の小喜劇

「綾子さん、あの人知らない?」

「知らないワ、どうして?」

燿子は洗面所の前に立って、半分開いた扉から、二等車のハイカラな青年を指さしました。蜻蛉の眼のような頭、赤いネクタイ、荒い縞の背広、長い顎、蒼白い顔色、――なんという不愉快な人相でしょう。

同じ車の中にいる健一――詰襟の学生服を着て、浅黒い顔をした、明朗そのもののようなのと比べると、まるっきり別な人種のように見える青年でした。