Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lesen Sie 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.533 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

水の中に射す――青白い微光

左右はくり抜いた岩、前も後も水、――その水勢が、隧道の口が大きくなったと見えて、次第に激しくなるばかりです。

「お兄様」

「綾子さん」

「燿ちゃん」

三人は探り寄って、闇の中に手を繋ぎました。

その時、北上川の堤防の上には、雲間をもれた月の光に照らされながら、せっせと堤防を壊して、いやが上にも隧道の口へ水を落し込んでいる者があります。

健一、綾子、燿子はどうしたら助かるでしょう。

水の中に射す――青白い微光

平泉館の秘密を探る為に、北上川の河床の隧道を入って、水中宮殿の絵図面を筋彫にした銅板を手に入れた立花博士の遺児の綾子と、そのお友達の燿子、燿子の兄で有名な水泳選手の翠川健一少年は、誰とも知れぬ者に、いきなり堤防をきって落された為に、さか巻く激流に押し流されて、漆の闇の隧道の中に、九死一生の目に逢っております。

「しっかりしろ、燿ちゃん、綾子さん」

二人の少女を両腕に援けて、胸まで浸す奔流の中に、翠川健一少年は必死の奮闘を続けました。

「お兄様、どうなるんでしょう」

日頃一番陽気で、一番智恵の廻る燿子は、こんな羽目に陥ちると、無口で悲しそうな綾子ほどの落ちつきもありません。