Japanische Klassiker mit Furigana
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すいちゅうのきゅうでん
水中の宮殿
野村 胡堂
Lesen Sie 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.533 Zeichen · 52 Bildschirme
臨検の役人は引揚げて、もう誰も二人の少女を妨げる者はありません。
「まア――」
梯子段の下に据付けた金庫の上は、強力な薬品で腐食させられて、三十糎四方ほどの大穴があいているのを見て、思わず綾子は立ちすくみました。
「どうなすったの綾子さん」
後からそっと肩に手を置く燿子。
「あの記録がなくなると、お父様の言ったことがみんな嘘になるんですもの」
「どうかなるワ、綾子さん、お兄様と相談して、記録を奪い返す工夫をしましょう」
「…………」
二人は何心なく梯子段の横から、食堂へ入りました。
「あッ」
中は二人の警官が固めて、床の上は、まだ洗い清めぬ血潮が、赤い膠のようにこびり付いております。
「お嬢さん方の入るところじゃありません。向うへ行った、向うへ」
二人の可愛らしい断髪の少女が入って来たのを見ると、警官は驚いて止めましたが、その時はもう、窓の下に駈け寄った綾子、卓掛の下からのぞく死骸にすがり付くように、
「爺や、どうしたの。誰がこんなひどい事をしたの」
ハラハラと涙をそそぐのでした。その時、
「正平が殺されたというではないか。一体全体、なんという事だ」
玄関から怒鳴り込んだものがあります。