Japanische Klassiker mit Furigana
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すいがいざつろく
水害雑録
伊藤 左千夫
Lesen Sie 水害雑録 (すいがいざつろく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.302 Zeichen · 25 Bildschirme
どこまでも奮闘せねばならぬ決心が自然的に強固となって、大災害を哀嘆してる暇がない為であろう。人間も無事だ、牛も無事だ、よしといったような、爽快な気分で朝まで熟睡した。
家の※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)が鳴く、家の※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)が鳴く、という子供の声が耳に入って眼を覚した。起って窓外を見れば、濁水を一ぱいに湛えた、わが家の周囲の一廓に、ほのぼのと夜は明けておった。忘れられて取残された※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)は、主なき水漬屋に、常に変らぬのどかな声を長く引いて時を告ぐるのであった。
三
一時の急を免れた避難は、人も家畜も一夜の宿りがようやくの事であった。自分は知人某氏を両国に訪うて第二の避難を謀った。侠気と同情に富める某氏は全力を尽して奔走してくれた。家族はことごとく自分の二階へ引取ってくれ、牛は回向院の庭に置くことを諾された。天候情なくこの日また雨となった。舟で高架鉄道の土堤へ漕ぎつけ、高架線の橋上を両国に出ようというのである。われに等しき避難者は、男女老幼、雨具も無きが多く、陸続として、約二十町の間を引ききりなしに渡り行くのである。