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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

もう一枚の紬は奥様のお形見として頂戴したもので、いずれも薄綿であった。

「女物ではござりますが、奥様のお形見でござります」と、彼女は外記に紬を着せてやった。綾衣は銘仙を羽織った。

母の形見に手を通して、外記も懐かしいような寂しいような、なんだか暗い心持ちになった。そのお形見がこういう時の役に立とうとは、お時も夢にも思わなかった。彼女は急に悲しくなって、訳もなしに涙がほろほろとこぼれた。

六

外記は明くる朝早く帰った。帰るときにも綾衣のことをくれぐれも頼んで行った。

頼まれたお時おやこの気苦労はひと通りでなかった。それも普通の人でない、くるわの駈落ち者である。しかも眼と鼻のあいだに廓を控えているここらあたりに、その駈落ち者をかくまって置くのは、燈台もと暗しとはいえ、随分あやうい仕事であった。それでも母子は大胆にその役目を果たそうとした。

狭い家ではあるが奥に四畳半の納戸がある。お時も綾衣に因果をふくめて、そのひと間の内に封じ込めてしまった。昼は一歩も外へ出ないで、幽霊のように夜を待って綾衣はそっと炉のそばへ這い出して来た。外記も夜道を忍んで時どきに逢いに来たが、箕輪田圃で蛍を追う子供たちにも怪しまれないのは僥倖であった。