Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
納戸の奥に封じ込めておいた美しい駈落ち者を、お米はいつか見つけ出していたのであった。
なんにも知らない、まして歳の行かないお米は、その美しい女をいちずに自分の仇と呪って、あわせてお時を怨んだ、取り分けて十吉を恨んだ。もう二度とここの家へは足踏みをしまいと思ったが、その位でとても堪忍のできることではなかった。彼女はこの頃の雨にぬれながら時どきに様子を窺いに来たが、懸け違って外記の姿を見つける機会はなくて、あいにくにいつもお時や十吉がその憎い女と睦まじそうに語らっているところばかりが、彼女の疑いの眼に映った。お米の胸は妬みの火にやけただれた。
きょうも自分の家の前でお時に逢ったが、お米はわざと顔をそむけていた。田圃づたいに長い堤をあがってゆくお時のうしろ影を腹立たしいような心持ちでしばらく見送っていたお米は、母の留守を幸いに女と差し向かいになっている十吉のことを考えると、総身の血が沸き上がって頭がぐらぐらして来た。彼女は前後の分別もなしに家を駈け出して、垣根越しに内の様子を覗きに来たのであった。
「そりゃあ飛んでもない間違いだ」
十吉は呆れたような、困ったような眼をみはって、しばらく黙っていた。