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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

「三月になると国へ一度帰る。そうして、金を持って来るから待ってくれ」

次郎左衛門もよんどころなしに一時のがれの嘘を言った。浮橋が出て行ったあとで、八橋は急に泣き出した。

「堪忍しておくんなんし」

今までお前を欺していたが、栄之丞は自分の従弟ではない、実は自分の情夫であるということを、八橋は泣いて白状した。いくらこっちでばかり親切を運んでも、むこうではなんとも思ってくれないで、この頃はなるたけ逃げようとしている。現に達者で雷門を歩いていながら、病気だといって廓へは寄り付かない。そんな不人情な男はわたしもすっぱりと思い切った。あきらめてしまった。さてそうなると、こうして廓にいてもなんの望みもない、楽しみもない、一日も早く苦界をぬけたい。今のわたしが杖柱と取りすがるのは、お前ばかりである。一つには不実な男の顔を見返すためと、二つには廓の苦を逃がれるために、どうぞわたしを請け出してくれと、彼女は繰り返して頼んだ。

「今まで欺していたのが憎いと思いんすなら、請け出して三日でも女房にした上で、突くとも斬るとも勝手にしておくんなんし」

彼女は次郎左衛門の前にからだを投げ出した。