Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
Lesen Sie 江戸芸術論 (えどげいじゅつろん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.130 Zeichen · 167 Bildschirme
出這入の唄合方は俳優が演技の情趣を助け床の浄瑠璃は台詞のいひ尽し能はざる感情を説明す。或論者は今なほチョボの文句の甚拙劣にしてしかもまた無用の説明に過ぎざることを説けどもこは徒にその辞句のみを見て三絃の合ノ手とその節廻を度外に置きたるがためのみ。例へば床の浄瑠璃の「後には一人母親が」とかあるひは「すかせばすやすや幼児が」といふが如きは文字の上より見れば全く無用の説明に相違なしといへどもその語る節廻と合ノ手とは決して然らざるものなり。余は床と囃子の連弾掛合の如き合方を最も好むものなり。『鬼一法眼』菊畑の場にて奴虎蔵が奥庭に忍び入らんとして身がまへしつつ進み行くあたりの床の三絃を聴かば誰かチョボを無用なりとせん。
江戸演劇に用ひらるる鳴物は独り三絃の合方のみに留まらず本釣鐘、時の鐘、波の音、風の音、雨車の如きを初めとし、谺、碪、虫笛、トヒヨの如き簡単に自然の音響を模したるものも皆それぞれに舞台の音楽的情調を作るに効果あり。僅に大太皷を打叩きて能く水声風声等を想像せしむるが如き簡単なる技巧は到底複雑なる西洋オペラの企て得ざる処にして、此の如きは敢て芝居の鳴物のみならず文学絵画諸般の芸術を通じて東洋的特徴の存する処ならざるべからず。