Japanische Klassiker mit Furigana
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
Lesen Sie 江戸芸術論 (えどげいじゅつろん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.130 Zeichen · 167 Bildschirme
二
しかもそが天稟の傾向たる写生の精神に至つては終始変ずる事なく、老年に及びてその観察はいよいよ鋭敏にその意気はいよいよ旺盛となり、凡そ眼に映ずる宇宙の万象一つとして写生せずんば止まざらんとするの気概を示したり。これ北斎をして自ら一派一流の法式を墨守するの遑なからしめたる所以ならずや。この点において北斎は寔に泰西人の激賞するが如く不覊自由なる独立の画家たりしといふべし。
二
北斎の制作は肉筆の絵画、板刻の錦絵、摺物、小説類の挿画、絵本、扇面、短冊及びその他の図案等、各種に渉りてその数の夥しきこと、ルイ・ゴンスの『日本美術』によれば少くとも三万種を越えたるべしといふ。今その重なる制作中殊に泰西人の称美するものを掲ぐれば第一は『北斎漫画』十五巻及びこの類の絵本なり。第二は富嶽三十六景、諸国滝巡り、諸国名橋奇覧等の錦絵なり。第三は肉筆掛物中の鯉魚幽霊または山水。第四は摺物なり。美人風俗画は比較的その数少くまた北斎作中の上乗なるものにあらず。
『北斎漫画』十五巻は北斎を論ずるものの必一覧せざるべからざるもの也。ゴンクウルの言を借りていへば、あたかも種紙の面に蛾の卵を産み落し行くが如く、筆にまかせて千差万様の画を描きしものにして、北斎のあらゆる方面の代表的作品とまた古来日本画の取扱ひ来りし題材並にその筆法とを一瞥の下に通覧