Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

用事が無ければ下へも降りて来ず、只一間にのみ垂れ籠めている。余り静かなので、つい居ることを忘れて、お鍋が洋燈の油を注がずに置いても、それを吩咐けて注がせるでもなく、油が無ければ無いで、真闇な坐舗に悄然として、始終何事をか考えている。

けれど、こう静まッているは表相のみで、乞の胸臆の中へ立入ッてみれば、実に一方ならぬ変動。あたかも心が顛動した如くに、昨日好いと思ッた事も今日は悪く、今日悪いと思う事も昨日は好いとのみ思ッていた。情慾の曇が取れて心の鏡が明かになり、睡入ッていた智慧は俄に眼を覚まして決然として断案を下し出す。眼に見えぬ処、幽妙の処で、文三は――全くとは云わず――稍々変生ッた。

眼を改めてみれば、今まで為て来た事は夢か将た現か……と怪しまれる。

お政の浮薄、今更いうまでも無い。が、過まッた文三は、――実に今まではお勢を見謬まッていた。今となッて考えてみれば、お勢はさほど高潔でも無。移気、開豁、軽躁、それを高潔と取違えて、意味も無い外部の美、それを内部のと混同して、愧かしいかな、文三はお勢に心を奪われていた。

我に心を動かしていると思ッたがあれが抑も誤まりの緒。