Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

来て、隔の障子の彼方からヌット顔を差出して、

「今日は」

ト挨拶をした男を見れば、何処かで見たような顔と思うも道理、文三の免職になった当日、打連れて神田見附の裏より出て来た、ソレ中背の男と言ッたその男で。今日は退省後と見えて不断着の秩父縞の袷衣の上へ南部の羽織をはおり、チト疲労れた博多の帯に袂時計の紐を捲付けて、手に土耳斯形の帽子を携えている。

「オヤ何人かと思ッたらお珍らしいこと、此間はさっぱりお見限りですネ。マアお這入なさいナ、それとも老婆ばかりじゃアお厭かネ、オホホホホホ」

「イヤ結構……結構も可笑しい、アハハハハハ。トキニ何は、内海は居ますか」

「ハア居ますヨ」

「それじゃちょいと逢て来てからそれからこの間の復讐だ、覚悟をしてお置きなさい」

「返討じゃアないかネ」

「違いない」

ト何か判らぬ事を言ッて、中背の男は二階へ上ッてしまッた。

帰ッて来ぬ間にチョッピリこの男の小伝をと言う可きところなれども、何者の子でどんな教育を享けどんな境界を渡ッて来た事か、過去ッた事は山媛の霞に籠ッておぼろおぼろ、トント判らぬ事而已。風聞に拠れば総角の頃に早く怙恃を喪い、寄辺渚の棚なし小舟では無く宿無小僧となり、彼処の親戚此処の知己と流れ渡ッている内、曾て侍奉公までした事が有るといいイヤ無いという、紛々たる人の噂は滅多に宛になら坂