Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
二日の正午頃、ラ・メデュウズは浮洲の縁辺にさしかかった。一帯の形相が変って、海の色が異様に白濁し、波がしらに海藻がまじるようになった。
航海士は顔色を変えて、航路を変更するように注意したが、ショオマレェはそれにさえも答えず、水兵に測鉛を入れるように命令した。
水深はなぜかそのとき八十尋もあり、測鉛の脂肪に砂まじりの泥がついて上ってきた。そこは浮洲が断層をつくった深い間隙だったのである。
「なんだ。八十尋もあるじゃないか」
ショオマレェはそのまま軍艦を進めようとした。航海士はそういう水深はありえない、もう一度測ってみる必要があると言い張るので、ショオマレェは渋々測鉛を入れさせた。こんどは十八尋、そして間もなくわずか十尋になった。ショオマレェは狂気のように叫んだ。
「帆をおろせ。早く、船を風上へ」
このときはもう六尋のところを走っていた。船舳に猛烈な衝動を感じたと思った瞬間、ラ・メデュウズは船底を砂岩に摩りつけながら、鳥黐のような浮洲に完全に乗りあげてしまった。午後三時十五分、吹くほどの風もない天気晴朗の昼さなか、西亜弗利加の沿岸からわずか四十浬のところで、愚昧な艦長は三檣戦艦を擱坐させてしまったのである。