Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かいなんき

海難記

久生 十蘭

Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

と胸をさしだした。

どう言いすかしても歩かせる方法がないと悟るとゲランはクロチルドを背におぶって歩きだした。行く手を見ると、仲間の一行は、沙漠の涯の夕闇にまぎれこもうとしていた。

妻はひっきりなしにしゃっくりしながら、しきりに渇きを訴えた。ゲランは水溜を捜してそこへ連れて行ったが、それは塩気のある苦い水だった。ゲランは溜り水に手を浸して茫然としている妻の姿を眺めていたが、進行することをあきらめて、さっきのオアシスへ戻った。

灌木の繁みがむこうに影のように見えだしてきたとき、背中のクロチルドの身体が急に重くなった。

「おいどうした」

クロチルドは死んでいた。

ゲランはオアシスの水溜りのそばに妻の死体を置き、心をこめて臨終の祈祷をした。

「お前は死んだのだな。これで苦しみは終ったろう」

そういって涙を流した。二十年の間いっしょにやってきた老妻を、こんな環境のなかに残して行くのかと思うと、胸のなかのどこかがひき千切れるような気がした。

夜になった。星明りをたよりに、サーベルで墓穴を掘っていると、すぐそばの灌木の中で猛獣の咆吼する声が聞えた。ゲランは反射的に渚のほうへ駆け、勢いあまって浅瀬の海に倒れこんだ。