Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしんあん
清心庵
泉 鏡花
Lesen Sie 清心庵 (せいしんあん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
」
「ああ。」
「ありゃね、尼様が殺したんだ。」
「何ですと。」
女は驚きて目をりぬ。
六
「いいえ、手を懸けたというんじゃあない。私はまだ九歳時分のことだから、どんなだか、くわしい訳は知らないけれど、母様は、お前、何か心配なことがあって、それで世の中が嫌におなりで、くよくよしていらっしゃったんだが、名高い尼様だから、話をしたら、慰めて下さるだろうって、私の手を引いて、しかも、冬の事だね。
ちらちら雪の降るなかを山へのぼって、尼寺をおたずねなすッて、炉の中へ何だか書いたり、消したりなぞして、しんみり話をしておいでだったが、やがてね、二時間ばかり経ってお帰りだった。ちょうど晩方で、ぴゅうぴゅう風が吹いてたんだ。
尼様が上框まで送って来て、分れて出ると、戸を閉めたの。少し行懸ると、内で、
(おお、寒、寒。)と不作法な大きな声で、アノ尼様がいったのが聞えると、母様が立停って、なぜだか顔の色をおかえなすったのを、私は小児心にも覚えている。それから、しおしおとして山をお下りなすった時は、もうとっぷり暮れて、雪が……霙になったろう。
麓の川の橋へかかると、鼠色の水が一杯で、ひだをうって大蜿りに蜒っちゃあ、どうどうッて聞えてさ。