Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしんあん
清心庵
泉 鏡花
Lesen Sie 清心庵 (せいしんあん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
真黒な線のようになって、横ぶりにびしゃびしゃと頬辺を打っちゃあ霙が消えるんだ。一山々々になってる柳の枯れたのが、渦を巻いて、それで森として、あかり一ツ見えなかったんだ。母様が、
(尼になっても、やっぱり寒いんだもの。)
と独言のようにおっしゃったが、それっきりどこかへいらっしゃったの。私は目が眩んじまって、ちっとも知らなかった。
ええ! それで、もうそれっきりお顔が見られずじまい。年も月もうろ覚え。その癖、嫁入をおしの時はちゃんと知ってるけれど、はじめて逢い出した時は覚えちゃあいないが、何でも摩耶さんとはその年から知合ったんだとそう思う。
私はね、母様がお亡くなんなすったって、それを承知は出来ないんだ。
そりゃものも分ったし、お亡なんなすったことは知ってるが、どうしてもあきらめられない。
何の詰らない、学校へ行ったって、人とつきあったって、母様が活きてお帰りじゃあなし、何にするものか。
トそう思うほど、お顔が見たくッて、堪らないから、どうしましょうどうしましょう、どうかしておくれな。どうでもして下さいなッて、摩耶さんが嫁入をして、逢えなくなってからは、なおの事、行っちゃあ尼様を強請ったんだ。