Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
「早くそう云うつもりで云いそびれたのよ、……すぐ焚けるからねえ」
「うん、――あのね、何も遠慮する事はないんだよ。金が無かったら無いようにハッキリ云いたまえ。ハッキリと云えばいいンだ。……俺は明日上野の博覧会にでも廻ってみよう。ペンキ屋の仕事のこぼれが少しはあるだろうと思うンだ。働かないで絵を描いて行こうなんて虫が良すぎる。そうだよ! 芸術だの、絵だのって、個人の慰みもンだアね、俺なんかペンキで夏のパノラマでも描いて、田舎の爺さん婆さんに見てもらった方が相当なンかも知れないよ、それが似合っているんだ」
「あなた、私を叱っているんですか?」
「叱って。叱ってなんかいないよ、だから厭なんだ、君はひねくれない方がいい。――僕が君に云ったのは貧乏人はあんまり物事をアイマイにするもンじゃないと云う事だ。遠慮なんか蹴飛ばしてハッキリと、誰にだって要求すればいいじゃないかッ! ヒクツな考えは自分を堕落させるからね」
米を洗っていると泪が溢れた。
卑屈になるなと云った男の言葉がどしんと胸にこたえてきて、いままでの貞女のような私の虚勢が、ガラガラと惨めに壊れて行った。
与一はあらゆるものへ絶望を感じている今の状態から自分を引きずり上げるかのような、まるで、笞のようにピシピシした声で叫んだ。