Japanische Klassiker mit Furigana
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おんせんだより
温泉だより
Lesen Sie 温泉だより (おんせんだより) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.095 Zeichen · 13 Bildschirme
現に同じ宿の客の一人、――「な」の字さんと言う(これは国木田独歩の使った国粋的省略法に従ったのです。)薬種問屋の若主人は子供心にも大砲よりは大きいと思ったと言うことです。同時にまた顔は稲川にそっくりだと思ったと言うことです。
半之丞は誰に聞いて見ても、極人の好い男だった上に腕も相当にあったと言うことです。けれども半之丞に関する話はどれも多少可笑しいところを見ると、あるいはあらゆる大男並に総身に智慧が廻り兼ねと言う趣があったのかも知れません。ちょっと本筋へはいる前にその一例を挙げておきましょう。わたしの宿の主人の話によれば、いつか凩の烈しい午後にこの温泉町を五十戸ばかり焼いた地方的大火のあった時のことです。半之丞はちょうど一里ばかり離れた「か」の字村のある家へ建前か何かに行っていました。が、この町が火事だと聞くが早いか、尻を端折る間も惜しいように「お」の字街道へ飛び出したそうです。するとある農家の前に栗毛の馬が一匹繋いである。それを見た半之丞は後で断れば好いとでも思ったのでしょう。いきなりその馬に跨って遮二無二街道を走り出しました。そこまでは勇ましかったのに違いありません。