Japanische Klassiker mit Furigana
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こんとんみぶん
渾沌未分
岡本 かの子
Lesen Sie 渾沌未分 (こんとんみぶん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.232 Zeichen · 33 Bildschirme
小初は貝原の様子などには頓着せず、貝原の言葉について考え入った。――自分の媚を望むなら、それを与えもしよう。肉体を望むなら、それを与えもしよう。魂があると仮定して、それを望むなら与えもしよう。自分がこの都会の中心に復帰出来るための手段なら、総てを犠牲に投げ出しもしよう。だがこの宮大工上りの五十男の滑稽な申込みようはどうだ。
「貝原さん、子供が欲しいなんて云わずに真直ぐに私が欲しいと云ったらどうですの」
「ああ。そうですか。でもあんまり失礼だと思いまして」
貝原がようやくまともに向けた顔を真直ぐに見て、さびしい声で小初は云った。
「それで子供を生んでもらうためなんてしらじらしい、ありきたりの嘘を云ったのですか。失礼とか恥かしいとか云っている世の中じゃないと思うわ。そんなことに捉われていたから、東京人は田舎者にずんずん追いこくられてしまったのよ。私たち必死で都会を取り返さなけりゃならないのよ」小初はきつい眼をしながら云い続けた。「それには私達、どんな取引きだってするというのよ」
小初のきつい眼から涙が二三滴落ちた。貝原は身の置場所もなく恐縮した。小初は涙を拭いた。