Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こなんのおうぎ

湖南の扇

芥川 竜之介

Lesen Sie 湖南の扇 (こなんのおうぎ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.079 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「見えたか?」

「うん、睫毛まで見える。しかしあんまり美人じゃないな。」

僕は何か得意らしい譚ともう一度顔を向い合せた。

「あの女がどうかしたのかい?」

譚はふだんのおしゃべりにも似ず、悠々と巻煙草に火をつけてから、あべこべに僕に問い返した。

「きのう僕はそう言ったね、――あの桟橋の前の空き地で五人ばかり土匪の首を斬ったって?」

「うん、それは覚えている。」

「その仲間の頭目は黄六一と言ってね。――ああ、そいつも斬られたんだ。――これが又右の手には小銃を持ち、左の手にはピストルを持って一時に二人射殺すと言う、湖南でも評判の悪党だったんだがね。………」

譚は忽ち黄六一の一生の悪業を話し出した。彼の話は大部分新聞記事の受け売りらしかった。しかし幸い血のよりもロマンティックな色彩に富んだものだった。黄の平生密輸入者たちに黄老爺と呼ばれていた話、又湘譚の或商人から三千元を強奪した話、又腿に弾丸を受けた樊阿七と言う副頭目を肩に蘆林譚を泳ぎ越した話、又岳州の或山道に十二人の歩兵を射倒した話、――譚は殆ど黄六一を崇拝しているのかと思う位、熱心にそんなことを話しつづけた。