Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
しかし私は私の発病以来、病気は医者任せ、運は天任せ、と心に決めた。そうして自分の一喜一憂を厳しく自戒したはずではないか。私は心の冷静を取り戻すために、静かに目をつむる。
暫くの時間が経つ。漸く私は目を開ける。丁度、その私の前を運送車が押されて行く。車の上には女の患者が乗っている。が、瞬間、私は慄然となる。その片方の目は刳り取られている。そうして、その眼に詰められたガーゼの端が覗いている。私はあわてて再び瞑目する。が、小さい絆創膏が沢山貼られていた、あの男患者の青黒い顔が目に浮かぶ。私はまた急いで目を開く。突きあたりの明るい光線の中で、二人の担送夫は担架を持ち上げ、階段を下りて行くところであった。
時計は三時を過ぎている。既に二時間を経過したわけである。築地の時も二時間は要しなかった記憶がある。しかし気持の動揺するようなことはない。三時十分、二十分。控室の方が少し騒がしくなって来る。三十分、廊下の向うから、先刻の二人の担送夫が歩いて来るのが、私の目に入る。が、その時、意外にも加納副部長が私の前に立っている。いつ加納副部長が出て来たか、いつ私が椅子から立ち上ったか、全く記憶がない。