Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
あちらこちらの壁や、柱に、妙な楽書もしてある。それに気づいた時には、というよりそれが記憶に残ったということは、私もそれが何を意味するかを知っていたことになる。特に人から教えられた覚えはない。少年達の例の無邪気な会話から自然に知ったのであろう。しかし私は言葉としてだけ知っていたのである。もとより何の興味も起きるはずはない。しかし何故そんなものばかり楽書するのか、私は不思議でならなかった。
春枝が最初に暇をとった。それからいさも、やすもいつの間にか私の家にいなくなった。それに代って、みねと、とよと、かねが女中に来ていた。
そのかねが大裏の物置小屋で死児を産んだという。母が顔色を変えて立ち上る。私もその後から駆けて行く。が、母が振り返って、私を制した。
「晋は来てはいかん」
その語気の激しさに、私は足を停める。内心、私はひどく不満である。かねのことが気にかかり、次第に不安になって来る。が、やがて和服に白い上衣を着た杉谷先生の姿を見ると、私はそっと家の中へ引き返した。あんなにうららかな太陽が照っている大裏の片隅で、ひどく不吉をことが起ったのに相違ないと思う。