Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

一瞬、白い制服の裾に、明るく光線が当り、二本の脚の影を映す。清潔で好色的でさえある。私は長く忘れていたものを思い出したようで、ひどく愉しい。が、看護婦は勢よく階段を下りて来て、さっと私の前を通り過ぎる。いかにも生生溌剌とした感じである。

医師が出て来て、妻の照射室の扉をあける。私と妻は三階の病室へ帰る。

更に拡声器に呼ばれ、妻は一階の放射線室へ行く。乳房を切除した左胸部に、放射線の深部治療を受けるためである。

「病人といっても、これで結構忙しいものですよ」と妻は苦笑する。私の場合は、八分間ずつ、四つの方向から、上顎に照射を受けた。しかし妻の深部治療は、患部の関係からか、僅か三分間である。妻は直ぐ放射線室から出て来る。この時刻になると、待合所にはもう殆ど人はいない。庭には春の夕日が当っている。私と妻は玄関に出てみる。いきなり妻が私の袖を引いて言う。

「あの方です。ほら、今朝、初めて水が喉を通ったの、あの方ですわ」

「そうか」

一人の小柄な男が、庭の躑躅の植込みの間を、静かな歩調で歩いている。

「しかし、あの気持、何だか判るような気がするね」

「そうよ、手を後で組んだりしてね。