Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
花公方ももう盛りを過ぎ、木の下に紫紅色の小さな花を散りこぼしている。
静かである。珍しくラジオも停止している。まるで総べてが弛緩してしまったような静けさである。また、あまりにも適当な温度のため、感覚が鈍化するのか、ともすると自分の存在さえ見失いそうになる。それを防ぐためには、全く意味のない声でもよい、一声叫び上げなければならないような衝動にかられるほど、静かである。
素子は私の傍の床の上に横になって、雑誌を読んでいる。勝気な素子は入院中の仕事の遅れを取り返すため、退院後は無理をするのではないか、と私は心配していたが、その恐れはないようである。自分の経験からも、放射線の反応は極めて強い。外見は元気そうでも、そのスタミナはかなり衰えているのではないか。読書にしても、まとまったものを読もうとする気力はない。
老母は隣りの部屋で居眠りでもしているのであろうか。母は永年、頑固に郷里の家を守っていたが、去年、神経痛を病み、漸く上京した。しかし仏壇のある郷里の家のことが、寸時も母の頭から離れないらしい。毎日、母は散歩に出て、密かに足を訓練している様子である。
縁側の籠の中で、十姉妹が高く囀り出した。