Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
完子は素子の山形高女での先輩で、戦前、素子は完子の家に寄宿していた。見ると、完子の首筋にも白いガーゼが貼ってある。
「これは、一体、どうなさったんです」
「私も、何だか怪しいんですの。ですから、私はここへ入院して、検査してもらってるんです」
「入院ですか。それは大へんだ」
「あなたは内科へもいらっしゃるんですの」
「それが、この間から、微熱がとれないものですから。何しろ前科があるもんですから、お医者さんの方が大へんなんです」
「全く散散ですわね」
完子は素子の病状などを聞き、二人は別れた。その日も、私は診察後、耳と腕から血を採られ、検尿のため、私の名前が貼ってあるガラス器に尿をとった。
私が病院から帰ると、素子は既に蒲団の上に坐っていて、私の顔を見るなり言う。
「お父さん、怖かった」
「どうした」
「また、何やら、できたらしい。傷口の中の粘膜、採られちゃった」
「そうか。しかしくよくよ思ったって始まらないよ」
「でも、怖いわ」
「それより、病院で完子さんに出会ったよ」
私は完子との一部始終を話した。
「ほんとに、どうかしているわ。私達の周囲って、癌ばかりじゃないの」
素子の細胞検査の結果はマイナスであった。