Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
いや、結構でしょう。では、次ぎは、来年になってからでいいでしょう」
帰路を急ぐ私の足が自然にいそいそとなって来るのを、私はどうしようもなかった。
朝食の時、母は茶碗を手に取り、箸を運ぼうとして、また茶碗を食卓に返した。
「今日は、御飯を、おいときますわ」
そう言って、母は立ち上る。
「気分がお悪いですか」
私も素子も立ち上る。母はよろけるように居間の方へ行こうとする。女中の綾子が急いで床をとる。母はその上にくの字型に倒れる。直ぐ母が言う。
「胸がむかつきそうやがな」
私は急いで洗面器を持って来る。母はその中にかなり大量の血を吐いた。
北海道から帰っていた長男を医者の許へ走らせる。杉本医師を伴って、長男は帰って来る。杉本医師は母を診察してから、別室で洗面器の血を視ながら言う。
「喀血か、吐血か、どちらですか。喀血なら肺、吐血なら胃、潰瘍か、癌でしょうね。しかし心臓は割にしっかりしていますよ」
「そうですか」
「とにかく今日は安静にしておいて、経過によって、明日でもレントゲンを撮ってみましょう。でも、多分喀血でしょう。血がかなり赤いですからね」
そう言い残して、杉本医師は帰って行った。