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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうみょうのまき

灯明之巻

泉 鏡花

Lesen Sie 灯明之巻 (とうみょうのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.444 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

びしょびしょ降の闇暗に、若い女が青ざめて、腰の下さ血だらけで、あのこわれ屋の軒の上へ。……わあ、情ない。……お救い下され、南無普門品、第二十五。」

と炉縁をずり直って、たとえば、小県に股引の尻を見せ、向うむきに円く踞ったが、古寺の狸などを論ずべき場合でない――およそ、その背中ほどの木魚にしがみついて、もく、もく、もく、もく、と立てつけに鳴らしながら、

「南無普門品第二十五。」

「普門品第二十五。」

小県も、ともに口の裡で。

「この寺に観世音。」

「ああ居らっしゃるとも、難有い、ありがたい……」

「その本堂に。」

「いや、あちらの棟だ。――ああ、参らっしゃるか。」

「参ろうとも。」

「おお、いい事だ、さあ、ござい、ござい。」

と抱込んだ木魚を、もく、もくと敲きながら、足腰の頑丈づくりがひょこひょこと前へ立った。この爺さん、どうかしている。

が、導かれて、御廚子の前へ進んでからは――そういう小県が、かえって、どうかしないではいられなくなったのである。

この庫裡と、わずかに二棟、隔ての戸もない本堂は、置棚の真中に、名号を掛けたばかりで、その外の横縁に、それでも形ばかり階段が残った。