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Japanische Klassiker mit Furigana

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むめいさっかのにっき

無名作家の日記

菊池 寛

Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

を書いている。が、俺の頭は高等学校時代のでたらめの生活のために、まったく消耗しきっている。この戯曲の主題には、少し自信がある。が、俺のペンから出てくる台詞は月並みの文句ばかりだ。中学時代に、自分ながら誇っていた想像の富贍なことなどは、もう俺の頭の中には、跡形もなくなっている。が、ともかくこの脚本を書き上げる。脚本ができ上ったら、中田先生を訪問することにしよう。先生の好意で、俺の前途は案外明るいものになるかも知れないから。

俺は今日偶然、吉野辰三君に会った。高等学校では、俺より一年上で、やっぱり京都の文科に来ているんだ。吉野君と話してみると、文壇に出ようといている者は、決して俺一人でないことを知って少しは安心した。吉野辰三! 以前、俺はあの人をどんなに崇拝したか分からない。明治四十年頃の「文学世界」の読者にとって、あの人の名はどんなに輝き、どんなに魅力を持っていただろう。田山花袋選の懸賞小説に幾度も投書して、成功しなかった俺は、吉野君の華やかな活躍ぶりをどんなに羨望したかわからなかった。

が、天才とまで激賞された吉野君は、その後「文学世界」の投書をよしてから、もう何年になるかも知れないが、杳として文壇に名を現す所がない。