Japanische Klassiker mit Furigana
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むめいさっかのにっき
無名作家の日記
菊池 寛
Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme
あいつは桑田などに、
「どうだろう! 富井のやつ、京都で何をやっているのだろう。相変らず例の甘い脚本か何かを、書いているに違いない。どうだい!『×××』に載せてやるとかなんとかいって、あいつの作品を取り寄せて、皆で試験をしてやろうじゃないか」と、いったに違いない。人の好い杉野や岡本などが、心配して止めると、あいつはなお面白がって、実行に取りかかったのだ。あいつに似合わない親切な手紙は、こうした動機からでなければ、書かれるわけのものでない。山野に対する憎悪、永久に妥協の余地のない憎悪が前よりも十倍激しい勢いで、俺の心のうちにこみ上げてくるのを感じた。が、山野のトリックに掛って、うまうまと「夜の脅威」を、得意になって差し出した俺の弱さ加減を考えると、俺は自分の身をいとおしむ涙が双頬を湿おすのを感じた。
×月×日
もう「×××」がでてから、二カ年半になる。「×××」はもうとっくに廃刊してしまった。が、山野や桑田や岡本や杉野は作家として立派に登録を済まして「×××」同人として文壇を闊歩している。ことに、山野は一作ごとに文壇を騒がして、今では押しも押されぬ位置を占めてしまった。