Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme
その声をききつけてすずしい部屋でうとうとしていたお婆さんも、かるいかおをして入って来て、
婆「よくかえってナ」と云ってかれたような手で頭をなぜて白いなめらかな額にキッスして呉れました。にわかに家の中は色めき渡って急に夕飯のおこんだてをかえた母は白いエプロンのメイドと一所に心地よく働いています。
美くしい詩人は旅のつかれにやわらかいソファーにやわらかい光をあびて夢を見て居ります。白い頭巾のお婆さんは自分の孫の此の上なく美くしい寝がおを見守っています。詩人が目をさましました時夕飯の頃にもうなって居て自分はいつの間にか雪の様に白いベッドの中にうつされて枕元には着かえるべきサッパリした着物も出て居ました。詩人は大きく目を開いて天井の一隅を見つめました。何故か大きい力のある目はうるんで居ます。美くしい詩人は彼の森の女が泣きたおれて正体もない様子を夢見たんでした。それは只夢でしたけれ共、若い心をもった詩人の心からは涙が出るんでした。けれども起きなおってその着物を着て髪をかきつけて出て行きました。夕飯はたのしくすみました。詩人は母が好物だというのでわざわざとってくれたローズの目の様な美くしいブドーを吸いながら、雪の日に旅立って門を出た時の事から今日門をくぐる時までの所を丁寧に話しました。