Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme
ぬけぬけと言って、文珠屋佐吉、樹の下の小径に振りかえった。
秋深く
陽は、高い。暑いのだ。文珠屋は、その陽のほうへ背を向けて、自分の顔を影にすることを忘れなかった。
が、そんな気づかいをしなくても、彼はつづら笠をかぶっている。また、その編目は粗く、なかの顔は透いて見えるけれど、大次郎は生死の血戦を経たあとで、蹣跚きそうに弱っているのである。笠の中の相手の顔になど注意を凝らす余裕は、なかった。
で、誰とも知らずの対応――。
「貴様も、その娘御を誘拐しようというのか。」
大次郎は、ざくろの果のはぜたような、傷だらけの顔に、硬い微笑をつくって、片手に女髪兼安を引っさげたなり、前のめりに、佐吉の前へ来て立った。
いま文珠屋と言っている当年の江上佐助が、千浪を慕ってにわかに下山していることは、大次郎のあたまを去ったわけではないが、藤屋からあのお花畑までの途中、後にも前にも佐吉の影はなかったし、それに、佐助の佐吉が、こんな服装をしていようとは知らないから、大次郎は、行きずりの旅人と話しているつもりで。
「これが、眼に入らぬか。」
手の、大刀を振って見せた。