Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
私の隣りのテエブルの母娘づれらしい方は、ふたりとも昨日と同じの黒い衣服をつけて、若い女の方は相変らず綺麗に化粧をしていたが、もう一方の、私がきのうは十八九の少女だとばかり思い込んでいた金髪の娘の方は、今朝は光線の具合でか、まるで顔が皺だらけで、三十をこしていそうに思えるくらいに老けて見えた。私はおとついの窓の女も、ゆうべ廊下で出会った少女なのか年よりなのかわからない女も、ひょっとしたらこの女だったのかも知れないぞと思った。おまけに今朝は寝間着らしいものの上にけばけばしい緑色のガウンをだらしなく引っかけたまま、トオストを齧りながら、栗色の髪の若い女が何やらもの静かに話しかける度毎に、荒あらしくそちらへ体をねじ曲げては無雑作に答えるかと思うと、そのついでに私の方をも無遠慮に見つめたりした。私はなんだかいやな気がして、その女から眼をそらしながら、ふとその眼を私がときどきふんづける小さな軟かなものの方へ持って行くと、それが三鞭酒の栓らしいことを認めた。ははあ、ゆうべは此処でも三鞭酒を抜いたんだな?……こいつらが騒いだのかしら? それにしてもこいつらは一体何者だろう、私にはとんと得体が知れない。