Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
ていたが、そのうち突然、何処かでガチャリ! と硝子の破れる音がした。と同時にあちらでもこちらでもそれと同じような物音が起った。ずいぶん沢山の硝子が破れたらしいな……と思う間もなく、彼の耳は彼自身のすぐ身ぢかに起ったらしいそれよりも数倍も大きな音響のために麻痺したようになった。それは彼の部屋のなかで起ったものらしかったが、彼はそれを確めようともせずに頭からすっぽりと毛布をかぶってしまった。そして彼は枕もとに用意してあるヴェロナアルを飲もうとしたけれど、このまま何も知らずに眠ってしまうことも恐しかった。それからどのくらい時間がたったか分らなかった。――ただその間も彼はたえず自分の眼底に、さまざまの色の微粒子がちらちらしているのをば感じていたが、そのうち不意にエレヴェタアの下降に伴うような感じで彼の全身がすうとしだすのと同時にそれらの幻覚も一時に消えてしまった。それは明らかに眠りではなかった。それはどこかしら脳貧血に似ていた。
本当の眠りはただその発作を長びかせるような作用をした。
彼がそういう一種の仮死から蘇ったのは翌朝の十時頃だった。もう風はすっかり止んでいたし、露台を四五寸埋めている雪からは水蒸気がさかんに立ちのぼっていた。