Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
「叔母さん、これ、何という草だか知っていません? これですよ、僕にドロシイのことを思い出させるのは……」彼は二三年前の発作のことを思い出しながら言った。
叔母はそれを手にとって見てちょっと嗅いでいた。
「なんだか薄荷みたいな香りがするわね。薄荷草というのじゃないこと?」
「あ、そう、そう、こりぁ薄荷のにおいでしたね……」
彼が発作を起すときの何となく快よいような気持は、丁度このにおいを嗅いでいるときの気持にそっくりであることに彼はいま始めて気がついたのである。それは彼には一つのすばらしい発見のように思われた。
まだ八月の半ばを過ぎたばかりなのに、もう秋風らしいものが周囲の木の葉をさわさわ揺すぶっているのを耳にひやりと聞きながら、或る朝、彼が二階のベッドの中でいつまでもぐずぐずしていると、突然戸外でマグネシウムを焚いたような爆音がした。それと同時に家全体がはげしく動揺した。
「浅間山よ……早く来てごらんなさいよ」階下のヴェランダで叔母が叫んでいるらしかった。
彼は寝間着の上に上着をひっかけてヴェランダへ降りて行った。
「僕はまた写真屋がマグネシウムでも焚いたのかと思った。