Japanische Klassiker mit Furigana
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ちち
父
金子 ふみ子
Lesen Sie 父 (ちち) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.107 Zeichen · 21 Bildschirme
そこで母は、私と弟とをつれて父を訪ねて行った。父はお友だちの家にいた。が、母がどんなに父に会いたいといっても父は出て来なかった。
おそらく母はもう耐えきれなかったのだろう。いきなりその家の縁側から障子をあけて座敷に上った。明るいランプの下に、四、五人の男が車座に坐って花札をひいていた。
母は憤りを爆発させた。
「ふん、おおかたこんな事だろうと思ってた! うちにゃ米粒一つだってないのに、私だってこの子どもたちだって夕御飯も食べられないって始末だのに、よくもこんなにのびのびと酒を呑んだり花を引いたりしていられたもんだね……」
父も腹立たしそうに血相を変えて立ち上った。そして母を縁から突き落とし、自分も跣足のまま飛び降りて母になぐりかかってきた。もし居合わせた男たちが父を後ろから抱き止めて、母をすかしなだめ、父を部屋に連れ戻してくれなかったなら、憐れな母は父にどんな目に合わされたかもしれなかった。
人々のおかげで母はなぐられなかった。その代り、米粒一つも鐚一文も与えられずに、私たちはその家をすごすごと立ち去らなければならなかった。
悲しい思いを胸におさめながら私たちは黙々と坂道を上っていた。