Japanische Klassiker mit Furigana
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ものすごきひとくいばなのかい
物凄き人喰い花の怪
国枝 史郎
Lesen Sie 物凄き人喰い花の怪 (ものすごきひとくいばなのかい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.756 Zeichen · 12 Bildschirme
「流石は世界の学界に植物学の大家として名声を博した程あって、コックニー博士の花園には無駄の草花は一本も無い。みんな珍らしい草ばかりだ」
どうやら其処を去りかねた様にフィリッポ博士は佇んだまま尚も花園を見廻した。そうして花の香を嗅ぐかのように幾度も深呼吸をした後でやっと花園を背後にして工場の中へ這入ったのであった。
工場の中も荒れていて堆高く塵が積もっていたが打見たところ諸種の機械は各自その位置に在るらしかった。
「どうぞお静に願います」
博士は皆を返り見て、穏かな調子で斯う云ってから自分も堅く口を噤んで場内の一所に佇んだ。博士はその眼を幽に閉じて小首を横へ傾けた。誰も彼もみんな黙っている。あたりは死んだように静かである。博士の様子を見ていると此の絶体の「静寂」の中から何かを聴こうとしているらしい。しかし「静寂」は「静寂」ばかりで他の何事をも語らない。尠くも市長や警視総監や新聞記者や刑事などには何事をも語らないように思われた。とは云え学界の権威の心霊学者のフィリッポ氏にだけは何事をか語っているようにも思われた。
博士は突然斯う云った――
「もし其れが可能でございましたら工場の機械を運転して様子を見たいと思いますが」