Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
空気はよどんで動かないが、風景はことのほか鮮烈に栄介の眼に迫って来た。プラットホームの端に、駅長か駅員が育てたのだろう、ケシの花が群をなして咲いていた。二人は歩いてその前に立った。
「これ、何の花か、知っているか」
栄介は言った。
「ケシの花だ」
「知っているよ」
「これから阿片がとれるんだ」
あやふやな気持で、栄介は説明をした。
「阿片というのは、麻薬だよ。のんでいる中に、中毒になる」
ケシにもいろいろ種類はあるだろうし、またそのどの部分をどうすれば阿片がとれるのか、栄介は知らなかった。もったいぶって説明したのは、ただ汽車到着までの時間稼ぎに過ぎなかった。とかく別離のための汽車を待つのは、間が持てないものだ。
「そうかい」
城介はあまり興味を示さず、他の景色の方ばかりを眺めていた。彼方から汽笛の音が聞えて来た。
「兄貴。もし大学まで行けるようになったら、東京の大学にして呉れよな。おれも話し相手が欲しいから」
「うん」
栄介はうなずいた。
やがて汽車が到着した。小さい駅なので、停車時間も短い。城介は彼から顔をそむけるようにして、すたすたと乗り込んだ。城介が座席を確保するのを見届けた時、汽車はごとんと動き出した。