Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
祝出征の宴を幸太郎宅でやりたいから、今夜来て呉れ、という用件だ。しかしその宴は、今夜うちでやることになっていた。
福次郎は会社に出ていたし、母親は台所でその支度をしている。
「兄貴。どうしようか」
城介は彼に相談した。
「あまり行きたくないな」
「じゃ断れよ」
城介は使者に言った。
「即日帰郷になったりしたら、面目がないから、壮行会はお断りします。うちでかんたんにやりますから――」
窮屈で酒がうまくなかったというのは、その夜の小宴のことだが、結構城介は飲み且つ食って、やはりうちはいいなあ、と好機嫌であった。身内だけの宴で、幸太郎はついに姿を現わさなかった。若干自尊心を傷つけられたのであろう。酒が一本、届けられただけである。
関東煮は汁がすこし甘過ぎた。
「お互いに酒だけは強くなったな」
彼は城介に言った。
「おれが初めて酒を飲んだのは、お前を東京に送りに行った駅前のうどん屋でだ」
「そうだったな。お銚子半分で、兄貴は真赤になっていた」
「そうだ。足がふらふらした。駅の向うは麦畑で、ゴッホが使うような黄色で、熟れてむんむんしていた」
「そうだったかな」
「プラットホームにきれいな花が咲いていた。