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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

するとリリーは一層大きくゴロゴロ云い出して、ときどき、突然人差指の先へ、きゅッと噛み着いて歯型を附けるのであったが、まだそんなことをされた経験のない彼女にも、それが異常な興奮と喜びの余りのしぐさであることが分るのであった。

その明くる日から、リリーはすっかり品子と仲好しになってしまって、心から信頼している様子が見え、もう牛乳でも、花鰹節の御飯でも、何でもおいしそうに食べた。そしてフンシの砂の中へ日に幾度か排泄物を落すので、いつもその匂が四畳半の部屋の中へむうッと籠るようになったが、彼女はそれを嗅いでいると、いろいろな記憶が思いがけなくよみがえって、蘆屋時代のなつかしい日が戻って来たように感ずるのであった。なぜかと云って、蘆屋の家では明けても暮れてもこの匂がしていたではないか。あの家の中の襖にも、柱にも、壁にも、天井にも、皆この匂が滲みついていて、彼女は夫や姑と一緒に四年の間これを嗅ぎながら、口惜しいことや悲しいことの数々に堪えて来たのではないか。だが、あの時分には、この鼻持ちのならない匂を呪ってばかりいたくせに、今はその同じ匂が何と甘い回想をそそることよ。