Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
池上は嫉妬やきでした。そしてそのことは去年の秋の末に、池上にはじめて中洲の料亭へ連れ出されたその食事の席で、彼みずから打明けたことでした。
けれども、わたくしがこの寮へ来るまでは、それをそれほど現す機会も事件もなし、池上自身も、わたくしを懲らして逃げられてはと自粛したためもありましょうか、わたくしに殆どその事を忘れさせるほど何事もなく済みました。けれども一たんこの寮へわたくしが入ると、まるで鼠取りの籠の中へ鼠が入った途端に〆めたとばかり捕え主が苛め出すように、池上はすぐさま嫉妬し始めました。
池上はわたくしを絶対に寮の外へは出しませんでした。買物があると言えばおきみを代って買いにやらせるし、友だちに会い度いと言えばこゝへ呼び寄せればいゝじゃないかと言うし、母と内緒の相談があって家へ帰ると言い出せば、また母を呼寄せようと言います。そして、呼びにやられた母親が、いつも有卦にでも入った顔付で直ぐ馳せつけまして、いよ/\池上から結婚の話でも切り出されたのかと、ひとり飲み込み顔にわたくしに対座するのには随分嫌気がさしました。
「ほんとは、何でもないのよ」
わたくしが不興気に言いますと、母は腫れものにでも触るように大事に扱いまして、わたくしの機嫌を取結ぶことが、わたくしをして、また池上の機嫌を取結ばしめるよすがにでも