Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
と、まるで自分の家で娘に酒の支度をさせるように言いますが、娘は「だめよ」と剣もほろろに横を向いています。わたくしは、情緒的のことでは、ひと事でも直ぐ顔を赭くするこの娘が、主人の手前とあれば、肉親の父親に向ってもこう手厳しい態度になれることに就て、東京の下町の雇人間でお店大事の制度が、親を越えたその子にまでこれほども染み込んでいるのか、それともこの父親には始終こういうにべも無い遣り方でなければ、あしらい切れないのかなどゝ思い廻らしていますうち、なお親子の間に二つ三つ押問答がありますのを池上は鶴の一声で裁きました。
「おきみ、いゝから、持って来てやれ」
そこで、おきみは主人に一礼して、酒を取りに立去ります後姿へ、嘉六はなおも、
「酒の肴はなんにも要らんぜ。おすんこのうまいのがあったら、そのおすんこだけでいゝぜ」
と呼びかけました。わたくしは、さっきから、この番頭の言葉に何かかすかな訛りのあるのに気付きましたが、このおすんこによって秋田訛りであるのを観破しました。学園の割烹の先生で秋田出身の割烹家があります。お漬物の講義の場合にその先生の口から何度このおすんこという訛り言葉を聴かされるか知れないので、生徒たちまでついおすんこと言うようになりました。